「世界子どもの日」 POP-UPフェスティバル参加!!~生きる力を育む教育~

温海地区3保育園のPOP-UPフェスティバルの取り組み

社会福祉法人あつみ福祉会が運営する3保育園(山戸、あつみ、鼠ヶ関)では、2019年より、SEL(Social Emotional Learning, 豊かな心と社会性を育む教育)をベースにした「生きる力を育む教育」に取り組んでいます。
3年目となる今年は、自分やお友達のこころと向き合うことへの成長が感じられる子どもたちの様子や保育士が考えたSELのワークをより多くの方に知って欲しいという思いから、世界のSEL実践ネットワークに参加するため、国連の定める「世界子どもの日」に関連して開催されるPOP-UPフェスティバルに参画しています。
本記事では、3園合同で開催している「福栄の日」に合わせて実施したPOP-UPフェスティバルの様子を中心にお届けします。

POP-UPフェスティバルは、国連が1954年11月20日を世界子どもの日と制定し、1989年には、「子どもたちが、命、健康、教育、遊び、家族との生活のための権利を尊重され、暴力や迫害から守られるように」と、子どもの権利条約を採択しています。これ以降、国連では世界子どもの日に合わせ世界中がひとつになり、子どもたちの福祉向上のために取り組もうと発信をしています。この発信に賛同したSELにおいて世界屈指の研究とネットワークを持つ米国NPOシックスセカンズ (SixSeconds)が、2016年より開始し世界中で行われている取り組みです。
当会の3保育園合同で、SEL教育アドバイザーでシックスセカンズのオフィシャルパートナーである三森朋宏氏のサポートのもとPOP-UPフェスティバルを開催しました。

この日は、温海の豊かな自然の中でネイチャーゲームを行いました。このアクティビティは自然にある例えば”茶色いもの””ツルツルするもの”を探す自然探索をしながらビンゴゲーム楽しむゲームです。屋外でネイチャーゲームを楽しんだあとは、ゲームを通じて集めた自然の産物をお互いに確認し合う振り返りの時間を持ちました。
さらに、アクティビティ全体を振り返り感情カードを使い気持ちチェックもしました。5つの感情カードから自分の気持ちに当てはまるものを選び、その気持ちを言葉にします。子どもが話した言葉を先生が一人ずつ丁寧に聞き取り、感情カードに書いてくれます。子どもたちは自分のカードを「わんぱくの森の台紙」にそれぞれ好きな場所に貼ります。
誇らしげに感情カードを貼りお友達どうしで感情カードを確認し合う様子から、子どもたちの自己肯定感や他者に対する共感力の向上をみて取ることができました。
こうして子どもたちは、自分の気持ちとお友達の気持ちについて知る学びを得ています。

毎日のEQチェックイン

自分やお友達の気持ちを知る学びは、毎日の積み重ねが大切です。3保育園では「EQチェックイン」として子どもたちが自分の気持ちと向き合い自分の言葉で気持ちを伝え、お友達の気持ちを知るアクティビティを毎日行なっています。
方法は似ていますが保育園ごとに子どもの状況や環境に合わせて保育士がオリジナルの方法を考えて実践しています。
写真を見ていただくと分かりますが、子どもたちは登園時に全員が元気で明るいわけではありません。お母さんに叱られて悲しい気持ちの子もいれば、兄弟と喧嘩して怒っている子どももいます。多くの場合、嬉しい、楽しいなど明るい気持ちが良いことのように思いがちですが、生きている私たちは、1日の中で気持ちが都度変化しています。気持ちの変化に気づけることが自分の気持ちを調整できるようになる第一歩です。子どもたちは、例えば悲しいことがあって泣いてしまった時も少し時間を置くことで自分の気持ちを落ち着かせ、なぜ悲しくなったかを先生やお友達に話せるように成長しています。
また、1日の中で気持ちが変化したときは自らその時に合った感情にカードや旗を移動させています。こうして1日を通じて揺れ動く感情に対しても向き合う力が日々高まっています。

日常保育への応用

3保育園ではEQチェックイン以外にも1日を通じて豊かな心と社会性を育む教育(SEL)が取り入れられています。

あつみ保育園では、例えば飼育しているカタツムリを日々子どもたちが観察していますが、自ら気づく経験の積み重ねによってカタツムリは野菜など食べものの色によって排泄物の色が変わることや、排泄をどこからするかといったことを子どもたちが発見しています。これは探求学習の基礎となるもので深い学びと高度な知識習得につながります。これもSELで大事にしている「教えず問いかける教育」の在り方によるものです。

山戸保育園や鼠ヶ関保育園では、山五十川の玉杉探検、鼠ヶ関探検隊などお散歩プログラムの振り返りとして感情カードを使った振り返りの共有を行なっています。この様にほんの少しの工夫によって日々の取り組みを深い学びへ変えることに取り組んでいます。

 

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